F1レースで、スタートするときの位置を少しでも超えてスタートしてしまうとペナルティになります。
他のドライバーよりも少しでも前にでることは、スタート時の大きなアドバンテージになるので当然のこと。
さすがにそんなドライバーはいない?と思うかもしれませんが、
ペナルティとして規則に定められているということは、起こりえるわけです。
2020年F1第3戦ハンガリーGPの決勝レースでライコネンにペナルティ
この決勝レースで、ライコネンが正しいスタート位置に停まっておらず、
本体の位置を超えてスタートしたとして、5秒のタイムペナルティを受けています。
ハース2台がBOXしたことで前方に誰も居ない→行き過ぎてしまう→正しい位置に止まっておらずタイムペナルティpic.twitter.com/E7lJp8qg9H
— TeamLH44_JP (@TeamLH44_JAPAN) July 19, 2020
前方のハース2台がピットに入ったことで、前方には誰も居ない状態です。
(前方の2台がいないこと自体、実は結構珍しいです)
つまり、前の車に合わせて停止することができません。
また、レースコンディションは雨。
つまり、グリッドの路面が滑りやすいため、ブレーキングポイントは少し早めなければいけません。
このような状況が重なったこともあって、本来の停止位置から少し行き過ぎてしまいました。
バックすればよかったのでは?
行き過ぎたなら、戻ればいい。
F1マシンにはバックギアが備えてあります。
これは安全装備的もので、レギュレーションに定められています。
要は、一般車と同様にバックができる仕様です(もちろん速度はでませんが)。
しかし、ことはそう単純ではありません。
レースのスタートは、最後尾のマシンが停止し、異常がないと判断され、
旗が振られた瞬間にスタートカウントのランプが点滅します。
予選で1位であれば、他車がスタート位置につくまでにはそれなりの時間があるので、間に合うかもしれません。
ただ、予選順位が最下位であれば、自分が停止した瞬間にランプが点灯するわけです。
その数秒でバックできるほど、マシン操作は単純ではありません。
このケースも、ライコネン自身、バックして合わせ直すだけの時間がなかったと言っています。
チームスタッフは教えてくれないの?
ドライバーが一人で判断するから間違うわけで、
優秀なチームスタッフが教えてくれれば、もう少し注意してスタート位置を確認できたはずですよね?
実は、ドライバーへの助言が禁止されているんです。
スタートしてしまえば、なんでも助言OKなのですが、
フォーメーションラップ中のドライバーへの助言は禁止されています。
もし、アドバイスしたとすれば、それはペナルティになります。