どっちを選んでもクラッシュ・・・左手の中手骨を骨折という不運
2023年F1第14戦のオランダGP金曜FP2、ダニエル・リカルド(スクーデリア・アルファタウリ)が不運にもクラッシュ。左手の中手骨(ちゅうしゅこつ)を骨折してしまいます。
なぜ不運かというと、リカルドは究極の2択、
- ウォールにヒットする
- 前の車にヒットする
の選択を迫られたからです。それも一瞬で。
リカルドの前を走っていたオスカー・ピアストリ(マクラーレン)がターン3でコースオフし単独クラッシュ。ピアストリの車がコースにかかる状態でストップしてしまいます。数秒後、リカルドは「I didn’t see the mclaren」マシンをかわすことができず、ウォールにぶつかることを選択しました。
さらに不運は続きます。ウォールにぶつかった時、ステアリングホイールから手を離すだけの時間がなく、ステアリングに手に当たってしまった結果、左手の中手骨を骨折してしまいます。
リカルドは故障によりオランダGPを欠場。代役はリザーブドライバーのリアム・ローソン。グランプリ途中でニック・デ・フリーズと交代してチャンスを得た矢先の故障はチームにとっても彼自身にとっても手痛い事故となってしまいました。
あなたは壁にぶつかる方を本当に選べる?
誰かを巻き込むよりも単独で事故をしたほうがいいに決まっています。平常時であれば誰でも壁にぶつかる方を選べるかもしれません。しかし、緊急時はそう簡単には行動できないものです。
頭では分かっていても緊急時に行動できるかどうかは別だからです。一般道の交通事故で事故回避のために壁にぶつかる選択をとっている一般ドライバーはまずいません。パニック状態ですから当然です。
運転席の後ろの席が一番安全だと言われますが、これは事故の際に運転手は自分が運転している側ではない方向に曲がるからです。恐怖に勝って自分から突っ込める人はいないでしょう。一歩間違えれば待つのは死ですから。
リカルドの選択を受けて、さすがF1ドライバーだと思いました。F1に限らずですが、経験や練習の中で緊急時のドライビングができるレーサーだからこそこの程度で済んだとも言えるのではないでしょうか。